新卒からベンチャーを5年半渡り歩いて感じた、新卒でベンチャーで働くメリットとデメリット
もうすぐ28歳になろうとしています。そして、転職し3社目となりました。これを人生の節目とし、今後どうステップアップしていくのかを考えるために、これまで新卒からベンチャーを渡り歩いてきたことを振り返ってみることにします。
大学入学後、自分が思い描いていた、そしてやりたかったことがそこにはなかったことに愕然とし、1年の留年を含む5年間、ただひたすらに酒と麻雀に明け暮れました。途中で、モバイルコンテンツを運営する企業で働いてみたり、個人事業主としてWeb制作を受託してみたり、弁護士を目指してみたりしましたが、特にこれといって方向性を見出すことなく、卒業に至りました。
卒業間際になって、このままフリーターになる選択肢はないなと気付き、働こうと決意します。このとき、大きな企業に入って、自分がしている仕事がひとつのパーツでしかなく、全体像が把握できない環境で働くこと、いわゆる"歯車"になることを嫌い、新卒からベンチャー企業に入社しました。いまとなっては、それが正しいかったと断言はできませんが、そのまま、Web制作、コンサルタント、そして、モバイルコンテンツ制作・運営と、ベンチャー企業5年3社目へと突入しました。
そこで、新卒でベンチャーで働くメリット、デメリットを僕なりに考えてみました。
新卒でベンチャーで働くデメリット(大企業で働くメリット)
まずはデメリットから。一番大きなデメリットは、大企業だからこそ経験できることが経験できないこと。完全に逆説的ではありますが、これがもっとも大きいと感じています。歯車として働くことが嫌でベンチャーに入ったのですが、これを経験しているとしていないでは、志向性に違いが出てきます。例えば、ベンチャー企業にとって手段を目的化することは致命傷に成り得ますが、ある一定規模になると手段を目的化することは一部では欠かせないことになります。僕はこれを理解するのに半年以上の月日がかかりました。他にも単純なビジネスマナーへの理解、ホウレンソウの重要性、細かな点をとってみても、大企業だからこそ早いうちからOJTという形で"経験"させてもらえることで、後々まで大切になってくることは、ベンチャーでの実経験だけでまかなえるほど簡単なことではありません。
他にも、ネームバリューが残ること。電通の〇〇さん、NTTの××さんというのは、退職後も残ります。ある種、その企業出身というだけで、ネームバリューに箔がつくのです。大企業出身者の諸先輩方が聞いたら、そんなもの何の役にも立たないとお思いでしょうが、ベンチャーのみ出身者にとって、これ以上羨ましいものはありません。ただ単にこれだけでも人はついてくるものです。(それでついてくる人がよいかどうかは別にして)
そして、大企業だからこそ経験できる大きな仕事には、ベンチャーではとてもじゃないがありつけません。それによって得られる経験は、ベンチャーでの実務では絶対に得られないもので、大は小を兼ねるものですから、この経験は非常に重要になってくると思います。プロジェクトの駒として動くことしかり、外注の使い方しかり、プロジェクトリーダーとしての動き方しかり。アレオレ症候群(広告業界によくある、「アレ、オレがやったんだぜ」という人がたくさんいること)も、それはそれで大企業だからこそできたことであり、ネームバリューに箔をつけるためには悪いことはあまりないと思っています。
これらの経験は、新卒でベンチャーで働きはじめてしまったときから、ほぼ経験することができなくなってしまいます。中途採用で大企業に入ったときには即戦力が求められるのですから、新卒のように教育される時間はありません。勉強している時間はないのです。つまり、前述のようなメリットは得られなくなってしまいます。
新卒でベンチャーで働くメリット
メリットは、端的に、これひとつです。いきなり責任感ある仕事が任せられ、その仕事が歯車ではないプロジェクトを一貫した仕事ができること。今やっている仕事が、誰の何のために役立ち、最終的にそれがどうなるのか。これを理解するのとしないのでは、その仕事のあるべき姿を捉えることはできないですし、それを捉えることによって、そのプロジェクトを大成させることができるかどうかを左右します。
この経験は大企業で得ることは難しい。もちろん、得ることはできないと断言はできませんし、大企業で働く方が責任感なく仕事をやっているとは思いません。ですが、意思決定プロセスが高いところにあり、プロジェクトの全体像も特に把握せずとも仕事ができる状況においては、そこで思考停止に陥ってしまう危険性は非常に高いと思います。
思考停止を許容せず、自らを高められる環境は、会社自体が常に厳しい状況で戦いを挑んでいるベンチャーにこそあり得る状況だと思います。ベンチャーでは、全員が全員そうあり、プロダクトが世の中をよりよく、より面白く、より便利にしていくことを思考していかなければなりません。それこそが、ベンチャー企業が大企業と戦って(あるいは共存して)いく唯一の術だと感じます。
まとめとして
人それぞれ感じ方は違うと思いますが、ベンチャーを起業するにしても、ベンチャーに就職するにしても、大企業での経験は必要であると個人的には考えていて、後輩などに相談を受けた際には、必ず一度は大企業で働いた経験がある方がいいと言うようにしています。
というのも、デメリットに書いたように、一度ベンチャーに新卒で入ってしまうと、大企業にはなかなか途中から入りにくいというのが一番大きな理由です(逆に、大企業からベンチャーへの就職は、それほどハードルなく行えます)。大企業でつめる経験や価値というのは、後から得たいと思っても、容易に得られるものではないのです。そして、その経験や価値はもちろん企業や仕事内容によって差はあるものの、得ておいて損はないものでしょう。
まずは、ベンチャーに入って最低3年働いてみると、その価値の有用性が理解できるはずです。ベンチャーを起業するのは何も学生時分に行う必要性はまったくなく、経験を積んでから、前もって準備をしてからでも遅くはないはずです。
これは僕のあくまで経験則です。そして、僕はまだベンチャーとして何一つ成し得たものはありません。ですから、成功談でもないわけです。ひとつの参考意見としてご覧いただければ。







