ベンチャー企業には粛々と技術を高めることにしか成長への道はなし 〜日本のITベンチャーには技術力も発想力も、そして将来もない

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最近、思うところあって、日本のITベンチャーのサービスが何故キャズムを超えることができないのかを色々と考えています。多角的な視点で見れば、もちろん、その解はいくつかあると思います。また、僕自身がキャズムを超えたサービスをリリースした経験はおろか、ベンチャービジネスを立ち上げた経験もないので、説得力が大きく欠ける話にはなってしまいますが、1つの解に辿り着きました。それは、「日本のITベンチャーには技術力も発想力もない」ということです。ちょっと、大げさに言い過ぎ感はありますが、つまるところそういうことではないかと。

もちろん、それが絶対悪とはいいません。アイデアも技術はなくとも、ちょっとした発想の転換で素晴らしいサービスに育てることはもちろん可能です。でも、それすらもない。じゃあ、なにか崇高な理念があって、金儲けならなんでもいいからやりたい!というのもアリだと思います。ただ、見る限り日本のベンチャー企業にはそれすらもない。

結局、限りあるリソースのなかで、グローバルな競争を目指していくために、超えなければいけないハードルがどこで、どこに注力すべきかの大局的な戦略がないがために、アイデアも技術もない、発想の転換も崇高な理念もないまま、ビジネスを継続しているというのが現状ではないでしょうか。

以下に3つの視点でさらに深掘りしてみることにします。

小手先のマーケティングで目の前の利益を得ることだけを考えるな

ソーシャルメディアマーケティング、ブロガーミーティング、twitter活用、萌え産業の活用...。それらは、昨今新たなマーケティング手法として注目されています。それ自身を否定はしません。僕自身もこの新たなマーケティング手法を、ユーザ視点で体験しながら、盛り上がりに触れておりますし、活用方法さえ誤らなければ、効果はあると思います。

しかし、その"活用方法"、つまり活用するベンチャー企業の姿勢に問題がある可能性が非常に高いと思います。前述した通り、大局的/系統的な戦略が今の日本のベンチャーには欠けていることは疑いようがありません。結局、短期決戦志向の戦略になっています。旧日本軍の終戦直前と同様の状況がここで起こっているわけです。だから奇策をやる。旧日本軍でいう特攻みたいなものです。

小手先の"奇策"を連発していれば、目の前の利益の確保はできるでしょうが、それが即"キャズムを超える"ことには繋がらないと断言します。奇策は結局奇策でしかないのですから。

限りあるリソースを奇策に割くことが本当に正しいのか、再考してほしいところです。今の日本のITベンチャーに必要なのは奇策ではなく、間違いなくアイデアや技術力。

高度経済成長期の日本の町工場の職人たちは、ただひたすらに技術を磨き上げることに専念しました。もちろん、マーケティングを一切しなかったとは言いません。しかし、その高い技術力を維持し続け、さらに新たなアイデアや発想の転換を加えることで、いつの間にか世界最高峰の技術力を有するに至ったわけです。Appleの優れたデザインの製品は日本の町工場なしでは成り立ち得ませんし、NASAのロケットすら飛びません。それほどまでに高い技術力を得るようになっているのです。

日々の生活を捨ててまで、技術力に特化しろとは言いません。せめて、旧日本軍の戦略性のなさから至った失敗に学び、高度経済成長期の日本の町工場の職人たちの粛々と技術を磨き続ける忍耐力を敬い、自らのビジネスに活用してほしいものです。

海外のサービスをパクるのはいいが昇華しろ

じゃあ、技術力/アイデアがないのはいいとして、発想の転換でビジネスができているかというと、そうでもない。例えば、海外で有名になったサービスを日本に持ってくるというのも、ひとつのビジネス上の手法ではありますが、それを全う出来るベンチャーがいるかというとそうではない。

中途半端な技術力や発想力で、海外のサービスを持ってくるだけで成功できるほど、世の中甘くないでしょう。仮に大きくなったとしても、運の要素は非常に大きい。運だけでその後、継続的に乗り切れるほど、簡単ではないはずです。

現在、日本における三大SNSは、運の要素も多分にありますがが、昇華したいい事例です。

海外でのSNSの流行を受け、各社群雄割拠でSNSを立ち上げましたが、まず飛び抜けたのがmixi。ここは、日本でコミュニティを成功に導くためには何が必要かを真剣に考え、デザイン性にまずは注力しました。これで女性を取り込むことができ、コミュニティとして栄えることができました。

しかし、mixiが成功したのは昇華したことよりも運の要素が強かったことが露呈したのが、その後のGREE、モバゲーの台頭です。大きな戦略もなく、その後どう昇華させるかがノーアイデアであったため、同等のサービスにも関わらず、GREE、モバゲーの大躍進を許してしまったのです。

GREE、モバゲーは、SNSをさらに昇華させることに成功しました。SNS+フリーゲームに広告モデル、さらにアイテム課金を組み合わせることで、ビジネスとしてもサービスとしても成功したのです。そこに寄与したのは、奇策でないテレビCMというまっとうなマーケティング手法も大きな要因ではありますが、mixiが昇華しきれなかったSNSという海外発のサービスを、日本の(特に若年層の)ユーザ向けに昇華したことが大きいでしょう。

mixiはこの現状をよしとせず、運で得ることができた資金と人材をもとに、GREE、モバゲーを超えるために、さらに昇華させようと継続的な努力を惜しんでいません。それがオープンソーシャルへと繋がっているのでしょう。ここに来て、mixiに大局的な戦略が見えてきました。今後のmixiは十分期待に値すると思います。

結局、日本のベンチャーが海外からサービスを持ってくるとしても、初期のmixiレベルでしかない。日本向けにカスタマイズをするものの、それが"昇華"とは言えない、低レベルなものに過ぎない。ある程度のユーザ数を集めることができたとしてもそれまで。それすら叶わないサービスが多いでしょう。

技術力/発想力に欠けているのであれば、それはそれとして、どのようにビジネスを進めるかはしっかりと考え抜くことが必要です。

メディアに持ち上げられて浮かれるな

ベンチャー自身の要素ではなく、外部に目を向けると、メディアにも問題があると見て取れます。それは、旧来のメディアも新興のメディアも同罪で、ひたすらにITベンチャーを"持ち上げる"。そのサービスの本質がなんなのか、差別化要素はどこにあるのか、ビジネスとしての成功要素があるのか、大局的な戦略を持ち得ているかなどは二の次で、とりあえず"持ち上げる"。彼らがその後失敗したかどうかはどうでもいい。失敗要素から学ぶための報道すらしない。そんな状況が続いているような気がします。

そしてそれに持ち上げられ、喜んでメディアに顔を出す経営者には、正直反吐が出ます。特に"日経"というブランドの強さから、それに掲載されることを熱心に推し進め、掲載されたことを喜んでいる姿を見ると、(多少、おめでとうという気持ちはありますが)まさに"本末転倒"だなという感想しか持ち得ません。

ここで生まれる弊害は2点、度を越すとグリーンメーラーになりかねない危険性があることと、批判から得ることの出来るものを得ずに誤った方向に突き進みかねないことです。

最近よくマスメディアに取り上げられている某社も、海外の本体に出資はしているものの、日本での展開は代理店的な動きに過ぎないことは周知の事実です。にも関わらず、大手メディアが取り上げることで、株価が急騰しました。この会社は気をつけないと、まさに"グリーンメーラー"になりかねない危険性が大いにありますし、既になっているのではないかという危惧もあります。

また、メディアで賞賛され続けたせいで、自らが構築したサービスが最高にいいものだと思い込んだ経営者を知っています。経営者にとって思い込みは必要不可欠な要素ではありますが、彼は賞賛され続けたことから、逆に否定的な意見を受け入れないようになっていってしまったのです。その結果、そのサービスは未だに収益化も図れていませんし、キャズムを超える様子は到底見受けられません。そして、メディアからも姿を消していってしまったのです。

メディアに出るなとは言いません。それは必要なことです。"日経"ブランドを否定しているようなことを書きましたが、そのブランド力は偉大です。日経の誌面に載ることで、エスタブリッシュな企業との付き合いがしやすくなることも確かではあります。しかし、それを本末転倒にしたり、賞賛を真に受けることなく、信念を貫くこと、批判を受け入れることを見失うことなく、粛々とビジネスに励んでいただきたいものです。

まとめとして、本記事の反省と今後

とはいえ、前述した通り、僕にはキャズムを超えたサービスをリリースした経験はおろか、ベンチャービジネスを立ち上げた経験もありません。なので的外れなことを言っている可能性が大いにあり、もう少し勉強をして、再度まとめていきたいと思います。

また、旧日本軍の戦略のなさを例に出しましたが、僕自身も旧日本軍が陥った主観主義で物事を見ている可能性がないわけではありません。今回の記事で特定のベンチャーを貶める意図は毛頭ありませんが、特定のベンチャーを念頭において記事を書いていることも確かです。そういう意味で主観主義に陥っている可能性があります。

日本のベンチャーが世界に飛び立つ必要性のために何をすべきかを真剣に考えたいというのが根底にあり、この記事を記しました。ですので、これがすべて正しいとは思っていませんし、もちろん他の視点から見て取れることはたくさんあるはずです。影響力の全くないブログながらも、twitterも含めて情報発信出来る時代に生まれ育った自身としては、自分のバックグラウンドも明かした上で、問題提起を行いたかったのです。

日本の技術力を高め、継続的に日本の国際的な地位を維持するためには、日本のITベンチャーがビジネスをまともに遂行するために必要なことはなんなのかを、真剣に考える必要があると思いますし、それをこれからも突き詰めていきたいと思っています。

(なお、ここに記述したようなことに当てはまらず、粛々と、しかししっかりと戦略を持って突き進んでいる技術ベンチャーも実際に知っています。そうした企業は、積極的に応援していきたいと考えています。)